アルツハイマー病など認知症の正確な診断に役立つ研究成果を発表
北海道情報大学および国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の認知症研究グループは、末梢血中のAβ(アミロイドβ)濃度から算出した複合バイオマーカー(CM)値が、複数の因子(年齢、性別、ApoE遺伝子型、血糖、血中マグネシウム)に影響されることを実証した(※1)。さらに、健常者と認知症患者のCM値の差が、アルツハイマー病(AD)を含む複数の中枢神経障害の発症に関連する可能性を突き止めた。
本研究で用いた末梢血中のAβの測定(※2)は、被験者への負担が少ないなど有意な利点があり、多数の認知障害患者や健常者をチェックすることが可能である。従って、経時的な測定を用いてAβ蓄積速度の変化を評価することができ、ADを含む様々な認知障害における重症度や病期の判定に役立つことが期待できる。この成果は、国際紙(Journal of Biotechnology and Biomedicine)に発表された。
今後、本研究成果をもとに、本学が取組む「江別いきいき未来スタディ」において、認知症研究を推進する。
※1本研究は、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「スマートバイオ産業・農業基盤技術」(研究推進法人:生研支援センター)および厚生労働科学研究費JPMH19AC5003、JPMH20AC5002、and JPMH21AC5002の助成を受けて実施されました。
※2株式会社島津製作所が開発した「アミロイドMS」にて測定を実施。本測定法は、アルツハイマー病をスクリーニングするための新しい血液分析法です。血液数滴(約0.5 mL)から、早期のアルツハイマー病の予測を目指す技術です。